痩せたい人に知ってほしい!「アブラ」の特性と付きあい方

見渡せば世の中は「アブラ」がいっぱい

天ぷら、唐揚げ、とんかつ、フライドポテトなど、「アブラ」の多い食事はとても魅力的です。

魚であればトロなど脂の乗ったもの、肉類では霜降りなどのサシが入ったお肉が重宝され、ラーメンでも、背脂系・油そばなどの人気があるように、実に多くの方が「アブラ」を好んでいる事が判ります。

一日の生活を振り返ってみても、何かしらの「アブラ」を含んだものを口にしない日は無いでしょう。

しかし脂肪は、肥満やダイエットの大敵です。決して摂りすぎて良いものではありません。

今回は、そんな「アブラ」について解説していきます。

人が「アブラ」を好む理由

なぜ人間はアブラ(脂・油)を欲するのでしょうか?

それは、身体に必要な栄養素だからです。

いわゆる三大栄養素「炭水化物・たんぱく質・脂質」のひとつですが、脂質は重要なエネルギー源だけでなく、ホルモンや細胞膜、核膜を構成したり、皮下脂肪として、臓器を保護したり、体を寒冷から守ったりする働きもあります。

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなど、重要な役割を担っています。

脂質は私たちの体にとっては欠かせない栄養素の1つです。

人間の身体は不思議なもので、身体に必要なものをおいしく感じるようにできています。

例えば汗をかいた後に、塩気のあるものを欲してしまうのと同じように、脂肪がおいしいと感じるのは身体が欲している証拠です。

特に、脂肪は遠い昔から「エネルギーを蓄積する」大事な栄養素なので、「脂肪は身体に必要だからおいしい」と感じるよう、私たちのDNAに刷り込まれているのです。

魅力的な「アブラ」の食感

牛肉のカルビやマグロのトロなど、脂がのっている肉や魚を食べると人は美味しいと感じますが、脂身だけを食べてもあまり美味しいとは感じません。

それは、「アブラ」自体に強い味や香りや味が付いていないからです。

では一体、なぜ「アブラ」を美味しいと感じるのか?

それは、脂が口の中に入ることにより、食べ物にしっとりとした食感を与え、さらに食べ物の味を増強させるからです。

脂は口の中に入るとその一部が唾液により脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸の働きが食べ物が持つ甘味やうま味を増強させます。

人の舌の表面には「舌乳頭(ぜつにゅうとう)」という小さな突起物があり、この舌乳頭の中に味を脳に伝える「味蕾(みらい)」という細胞が数多く存在します。

この味蕾がある舌の上に脂がのった食べ物がのると、脂が分解されてできた脂肪酸を感知し、食べ物の味を伝える能力が格段にアップするのです。

つまり、脂肪酸には明確な味はありませんが、食べ物が持つ甘味やうま味を増強して脳に伝える働きがあるので、脂がのった食べ物を美味しいと感じるというわけです。

また、「アブラ」は調理過程によって食材にいろいろな物性を与えます。

サクッとしたもろい食感(ショートニング性)や、空気を抱き込みクリーミーな舌触り(クリーミング性)を作り出したりします。

それ以外にも「水と油」のように相容れないもの同士でも、油の中に水の小分子が分散したり、水の中に油の小分子が分散することで「乳化」を起こし、マヨネーズや生クリーム、バターなどのおいしさを作り出しています。

摂りすぎも、減らしすぎもNG

ここまで「アブラ」が美味しく、好まれる理由を説明しましたが、だからこそ摂り過ぎに注意しなければなりません。

摂り過ぎてしまうと、体脂肪として蓄えられ肥満を招き、脂質異常症、動脈硬化、心臓病など、さまざまな生活習慣病の原因となります。

特に脂の中でもショートニングやマーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、心臓病のリスクを高めたり、アトピー性皮膚炎や花粉症の原因になるともいわれています。

スナック菓子やインスタント食品、チョコレート、菓子パン、レトルト食品、ケーキなどにもよく使われているので、これらを食べる機会が多い方は意識して成分表示覧を確認しましょう。

また、ポテトチップやポップコーンのように、脂質と糖質・塩分が組み合わさることで、食べ始めたら止まらなくなってしまい、糖尿病や高血圧リスクが上がりやすい食べ物にも要注意です。

では、リスクを低減させるために、なるべく脂肪を摂らないようにすると、どうなるのでしょうか?

ダイエットをされている方の中には、健康面のリスクや体重を落とす事を考えて、脂肪断ちをしているという方を見かけたりします。

しかし極端に摂取を抑えてしまうと、エネルギーが不足して疲れやすくなったり、体の抵抗力が低下したりする可能性があります。

また、脂質とともに吸収される脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)が吸収されにくくなり、ビタミン欠乏になるリスクもあります。

「アブラ」と上手につきあおう

生活習慣病の予防や体重をコントロールするうえでとても大切なポイントは、脂質の摂取量をいかに調整するかにかかっています。

日常生活の中で「アブラ」への意識を切らさず積み重ねる事が、ダイエットの成功と健康維持に繋がりますので、自分の身体に合ったコントロール方法を身につけましょう。

食事の脂質量を調整するコツ

・洋食より和食を選ぶ

・肉は脂身の少ないものを選ぶ

・揚げ物や炒め物より、焼き物や蒸し物にする

・スナック菓子やケーキなどの間食を控える

・脂質の多い調味料(マヨネーズやドレッシング、バター、マーガリン)の量を控える

古い言葉で「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。

「アブラ」の特性を知り、自分自身の嗜好や習慣を見直すことが出来れば、きっと上手に付き合う事が出来るでしょう。

常に自身の体重や体調と照らし合わせ、適量の「アブラ」で食事を楽しんでくださいね。

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