偏りは失敗のもと!極度な「糖質制限」に潜む、健康リスクの数々

認知されてきた「糖質制限」

テレビを見ていても、買い物をするときでも、日常的に低糖質や糖質オフという言葉をよく見かけます。

確かに10年前と比較すると、「糖質制限」という言葉が、世の中にだいぶ浸透してきた印象があります。

キャスラップに寄せられる質問の中でも、「糖質制限」に関する内容は頻度が高く、ダイエットをするにあたり、気にしている人がとても多いことが伺えます。

今回は、そんな「糖質制限」のメリットやリスクについて解説します。

糖質制限の「唯一」のメリット

世の中に糖質制限という言葉が浸透して最も良かった事は、「糖質を摂りすぎると、健康を害する恐れがある」という認識を多くの方に広めたという点でしょう。

そもそも糖質は、たんぱく質・脂質と並ぶ“3大栄養素”のひとつで、ご飯やパンなどの主食に多く含まれ、 体内に入ると消化されてブドウ糖(血糖)に変わり、全身のエネルギー源になっているものです。

しかし糖質をとり過ぎると、血液中のブドウ糖が過剰に増えます。

余分なブドウ糖は肝臓に取り込まれますが、ブドウ糖が過剰になると追いつかず、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)は異常に高くなってしまいます。

これを「食後高血糖」といいますが、食後高血糖は血管にさまざまなストレスを与え、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを高めます。

また、糖質をとり過ぎると、肝臓は過剰に増えたブドウ糖を取り込みきれません。

すると、ブドウ糖は中性脂肪に変化し、脂肪組織として体内に蓄積され、これが肥満につながるのです。

つまり「食べるときは糖質でも、とり過ぎれば脂肪」ということです。

「糖質制限」という言葉が広まったおかげで、日常の食事にどれぐらいの糖質が含まれているかを意識し、摂り過ぎないように気を付けるきっかけになったという人がいるとしたら、肥満や疾患の予防に、大きく役立っていると言えるでしょう。

糖質制限の「大きすぎる」リスク

糖質制限ダイエットは、炭水化物を摂らない代わりに、タンパク質(肉や魚類)ならどれだけ食べてもいいというハードルの低さに加え、短期間で体重を落としやすいので、痩せたい人にとっては確かに実践しやすいダイエット法かもしれません。

しかし、実際に取り組んでみた人から聞かれる話や、研究機関の統計データは、決して良いことばかりではありません。

むしろマイナスな事の方が圧倒的に多いのです。

糖質制限による弊害例

・集中力がなくなり、頭がぼーっとするなど無気力になる事が多くなった

糖質制限で血糖値が過度に下がると、疲れやすくなり、集中力が低下します。

特に脳のエネルギー源は糖だけなので、糖質不足ではやる気も出なくなります。

・便秘気味になった

糖質制限によって炭水化物の摂取がなくなると食物繊維も不足してしまうので、便秘が引き起こされると考えられています。

米は水で炊き、麺類はお湯でゆでるなど、主食には多くの水分が含まれています。

飲食を通して摂取する水分が不足すると、便に含まれる水分量も減るため、便は硬くなり、排出しにくい状態になってしまいます。

糖質制限によって主食を抜くことで、無意識のうちに水分不足を招くことになり、便秘になってしまうケースがあるようです。

また、糖質制限は、主菜は肉料理や魚料理が主になりますが、それらの摂取量が増えると、動物性たんぱく質や脂質の摂取量が増えてしまいます。

動物性たんぱく質や脂質は、腸内の便の腐敗を促す悪玉菌を増やす原因となるため、腸内環境を悪化させ、便秘を引き起こすことがあるようです。

・肌がボロボロになった

糖質が不足すると、たんぱく質を糖に変えてエネルギーに使うようになり、たんぱく質が不足し始めます。

その影響で肌、髪、爪の新陳代謝が悪くなり、美容面にもダメージが現れます。

・体臭や口臭がきつくなった

糖質制限ダイエットをすると、甘酸っぱい“ケトン臭”と呼ばれる臭いを放つようになります。

これは血液中に増加した脂肪酸がTCA回路に入って燃焼がうまくいかず、別な経路でケトン体という臭い物質に合成されることで生まれます。
ケトン体は肝臓で作られる物質で糖尿病の人にも出る臭いと同様、強烈な臭いを発する物質でもあります。
このケトン体が血中に増えすぎてしまうと、汗や尿の中にも排出されるだけでなく、血液が多く集まる肺にも集まりやすく、口臭にも影響します。

これが最終的には身体全体から強烈なツーンとした甘酸っぱいダイエット臭を放つ原因となります。

・短期間で体重は落ちたが、それ以上にリバウンドしてしまった

エネルギー源として身体への吸収が早い糖質の摂取を減らせば、短期間でかなりの体重が落ちることになります。

しかし、ここで落ちている体重とは、実はからだから本来減らしたかった体脂肪ではなく、水分が抜けているだけの状態です。

からだに糖質などを蓄えておこうとする際に必要だった水分が一緒に減っているため、脂肪が落ちているようにみえるのですが、実際は血液がドロドロになっていたりするなど、からだに大きなリスクをもたらすので注意が必要です。

また、糖質を制限すると、エネルギー不足を補うためにたんぱく質が消費され、筋肉量が減少します。

筋肉量が低下すると基礎代謝が低下し、太りやすく痩せにくい身体になるため、ダイエットしてもリバウンドしやすくなります。

・研究機関からの報告例

糖質制限の健康リスクに関しては、いくつかの研究で指摘されています。

2013年に国立国際医療研究センター研究所から発表された論文では、糖質制限食(低炭水化物食)を摂っている人の死亡リスクが高いことが示されました。

心臓や血管の病気に関しては、発症リスクは高炭水化物食の人と大きな差はなかったものの、死亡リスクはやはり高いということが指摘されています。

さらに、低糖質+高たんぱく質を指標として分析した結果も、同じように死亡リスクが高かったとのことです。

また、2018年にアメリカで発表された論文でも同様に、糖質制限食は死亡リスクが高くなることが示されています。

短期的には体重の減少が期待できる糖質制限ですが、健康には大きなリスクがあると医学的には考えられています。

最も大切なのは「バランスをとる」こと

ダイエットとは本来、健康のために食事量を管理して、適正な体重にしていくことが目的です。

極端に食事を偏らせて、リスクを負いながら体重を落とす方法は、決してお勧めできるものではありません。

しかし現状は糖質制限に限らず、様々な食事ダイエット方法が提案され、身体に悪い食材は一切取らず、身体によいとされる特定の食品をいくら食べてもよいなど、食べる量やカロリーを無視した方法が蔓延しています。

健康的に痩せるために大切な事は、そういった情報に踊らされることなく、バランスの取れた適量の食事を常に心掛けることです。

あなたもこの機会に、日頃の食事バランスがとれているかどうか、是非チェックしてみてくださいね。

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