ダイエットを始めると「便秘」になる意外な理由

ダイエットを始めると便秘になりやすい!?

減量やダイエットを始めると、「便秘になってしまった」という方がいます。

どうしてダイエットを始めると便秘になってしまうのか?

それは、食事や水分の摂取量を急に減らしてしまうからです。

そもそも体重が過剰な方は、お腹周りに脂肪がたっぷりついています。

その脂肪たちが腸の周りを圧迫すると、腸の内容物を押し出す動き(蠕動運動)が妨げられてしまいます。

ではどうやって、ダイエット開始前は排便を促していたかというと、上からどんどん飲食物を流し込むことで、便を押し出していたのです。

しかしダイエットを始めると、ほとんどの方が食事制限を始めるので、これまでと比べて食べ物・水分・脂分が入ってこなくなるため、便が出にくくなり便秘になってしまうのです。

朝に決まったタイミングで、すっきり便が出ると1日が快適に過ごせるのに、便秘のときは気持ちも体調も不安定になる事がありますよね。

今回は、ダイエットだけでなく健康回復にもかかわる「便秘」が身体に及ぼす影響とその改善策について解説していきます。

便秘になって困る事

たかが「便秘」と、たかをくくっている方もいるかもしれませんが、侮ってはいけません。

大腸の中でどんどん便が固くなってくると、そこから連鎖的にトラブルが発生します

まずは連鎖するトラブルのなかでも、代表的なものを紹介します。

① 痔

便秘になると水分が吸収されて便が固くなり、排便時に肛門を傷付けやすくなってしまいます。

また出の悪い便を出すために「いきむ」ことにより、組織がうっ血して血行障害が起こり、その部分がいぼ痔になる事があります。

肛門の痛みや出血を心配するあまりに便意を我慢すると、便がさらに固くなり、状態は一層悪化してしまいます。

② 脱肛、直腸粘膜脱

便が固くなり排便時にいきむようになると、痔核の血管が膨れて次第に肛門の外へ出てきます(脱肛)。

これが繰り返されると、直腸の粘膜も一緒に肛門外へスライドしてきます(直腸粘膜脱)。

③ 糞便栓塞

便が直腸内に溜まって固まり指や器具でかき出さなければならない状態、いわゆる糞詰まりになってしまいます。

下剤や浣腸だけでは解消できません。

④ 大腸の潰瘍・穿孔、腹膜炎

大腸内に便が滞ると、潰瘍ができる可能性があります。

まれに、そこからおなかの中に便の細菌が広がり、腹膜炎になることがあります。

⑤ 肌荒れ、体臭、肥満

便秘が続いて便を腸内に長く溜め込んでいると有害物質が発生しますが、便によって出口が塞がれているため、有害物質を外へ出すことができません。

そのため、行き場を失った有害物質が腸壁から出ようと血液中へ溶け出し、全身へと巡ってしまいます。

そして、汗や皮脂と一緒に毛穴から外へ出て嫌な臭いを発したり、ニキビや吹き出物といった形で皮膚上に表れたりします。

また、こうした質の悪い血液は脂肪に蓄積されやすいため、太りやすく、やせにくい体にもなってしまいます。

⑥ 生活習慣病やがんのリスク

有害物質である悪玉菌は発がん物質をつくり出すため、がんのリスクが高くなると考えられています。

慢性的な便秘は大腸がんの原因の一つとも言われています。

便秘で腸内の細菌のバランスが崩れると、脂質や糖の分解や吸収にも影響を及ぼし、高脂血症や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病も発症しやすくなります。

⑦ 自律神経系のトラブル

便秘で自律神経が乱れている状態になると、精神的に不安定になりやすく、便が出ないストレスも加わり、余計に便秘が酷くなるという悪循環に陥ることがあります。

自律神経の乱れは、便秘と下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」の原因にもなります。

吐き気やおう吐の他、頭痛などの神経系の症状や、うつなどの精神的な症状も引き起こします。

自律神経が乱れて起こる病気には「自律神経失調症」があり、耳鳴りや吐き気、頭痛、倦怠感が表れるだけでなく、情緒不安定になりやすくなり、ひどい場合には過呼吸や被害妄想などの症状が出ることもあります。

すでに様々なトラブルが発生している方は、速やかに医療機関を受診しましょう。

医師の判断によりますが、処方や処置が必要な場合もあります。

便秘を改善するために

まだ大きなトラブルに発展していないという方は、便秘の改善のためにできる事からどんどん始めていきましょう。

① 朝の排便習慣をつける

朝は腸管がよく動いて便が出やすい状態です。そこへ水や食べ物が入ると腸の蠕動運動が活発になります。

最初のうちは便意を催さなくても、朝トイレにいく習慣をつけるようにしてください。

慣れてくるうちに便意が起こるリズムが形成され、毎朝の排便習慣ができると、便秘の改善につながります。

② 便意を我慢しない

排便したいのにトイレに行くことを我慢していると、直腸の感覚が鈍り、便が直腸へ到達しても脳へ伝達されなくなります。

我慢を続けた結果、便意が起こりにくくなり、行き場を失った便が排泄されずにどんどん溜まることで便秘になってしまうのです。

便秘を回避するためにも、排便したい時に便意を我慢しないことが大切です。

③ 適度な運動

便秘の原因の一つに、運動不足が挙げられます。日常生活であまり身体を動かさない人は、血液の循環が悪く、腸の働きも鈍ってしまいます。

しかし、わざわざジムに行ったりする必要はありません。

仕事の合間などで、軽く腰をひねったり、ストレッチ運動をしたりするだけでも、排便を促す効果があるので、日頃から適度な運動を心がけるようにしましょう。

④ ストレスをため込まない

便秘の原因の多くはストレスによるものとも言われています。

胃や腸は人間の体の中でも、特にストレスへの耐性が弱く影響を受けやすい臓器なので、ストレスは溜め込まずに早く解消することが大切です。

⑤ 飲み物の改善

体内の水分が不足していると、腸の機能が十分に発揮できません。

便をスムーズに排泄するためにも、十分な水分を取り入れることが必要です。

そのために大切なのは、一日の中で何度もこまめに水分を取ること。

水分を定期的に摂取することで腸の環境が整い、適度な水分を持った便が排出されるのです。

また、起床時にコップ一杯の水を飲むのもオススメです。

⑥ 食べ物の改善

ご存知の方も多いかもしれませんが、食物繊維を取ることは便秘改善の基本です。

食物繊維は腸管で吸収されずに残るため、水分を含んで便を作ります。

繊維分が多いほど水分を吸収しやすく、便が柔らかくなり便も大きくなるため、スムーズに排便を行うことができます。

野菜、豆類、海藻類などを積極的に摂るよう心がけましょう。

⑦ 生活習慣の改善

自律神経の働きを高めたり、余計なストレスをためない為にも、健康的な生活習慣を身につけましょう。

早寝早起きし、三食しっかり食べ、暴飲暴食をしないなど、基本的な事を毎日継続することで腸の働きも安定します。

まとめ

「便秘=お通じが悪い」くらいの軽い程度で考えてはいけません。

積み重なることで、様々な不調のもとになってしまう事はお分かりいただけたでしょう。

大切なのは、便秘になる仕組みを理解し、重症化しないように予防していくことです。

痩せやすい体質になるためにも、便秘予防のよい習慣作りから始めていきましょう!

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